マンションの共用部分と専有部分を区別する基準には2つの考え方
▶️上塗り基準と壁芯基準
壁芯基準では、ガス爆発など躯体部分に損傷のある事故の場合、保険が十分に出ない可能性があります。
このため、多くの管理組合では十分に補償のできる上塗り基準を採用しています。
▶️上塗り基準
界壁、階層、構造柱などの「建物の構造的な部分」はすべて共用部分とし、専有部分側の上塗り部分(コンクリートスラブの仕上部分より内側)を専有部分とする考え方です。
上塗り基準では共用部分の範囲が広く、躯体部分の全部が共用部分となります。
したがって、管理組合で上塗り基準により契約していただければ、万一の際に保険金だけで修復がスムーズに行え可能性が増大します。
管理組合規約の例
(専有部分の範囲)
第7条
対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住宅(以下「住宅部分」という。)とする。
2.前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
(1)天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を共有部分とする。
(2)玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
(3)窓枠、窓ガラス及び網戸は、専有部分に含まれないものとする。
3.第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共有部分にある部分以外のものは、専有部分とする。
壁芯基準
界壁、階層の中央部分までの専有部分側は自分の専有部分で、外側は共用部分または他人の専有部分とする考え方です。
壁芯基準では、次のような問題が発生してきます。
⑴専有部分の契約もれが一戸でもあると、罹災の際、建物の修復がスムーズにいかない可能性があります。
⑵躯体部分の部分修復は割高で、保険金だけでは修復がまかないきれなくります。
共用部分の範囲
共用部分の範囲については、管理組合が定める管理規約等の規定によりますが、共用部分は大きく分けて建物、敷地庭、駐車場の3つに分かれます。
⑴玄関ホール、廊下、階段、屋外階段、屋上、エレベーターホール、共用トイレ、湯沸室、エレベーター室、ポンプ室、電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、塔屋、バルコニー、ベランダ等。
⑵エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、ガス配管設備、避雷設備、テレビ共聴設備、消防・防災設備、各種の配線配管等。
⑶へい、かき、フェンス、掲示板、駐車場、自転車置場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、水道引込管、排水設備、塵芥集積所、消火栓、専用庭等。
⑷管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫等。
マンション内で火災が発生した場合
共用部分に一括して管理組合で保険に加入すると、共用部分の問題がなくなります。
【火元A】
Aの人は、個人ですべて火災保険に入っている場合は、自分の家の損害、区分所有分の損害が補償されます。
専有部分のみ加入している場合は、自分の家の損害のみ補償され、区分所有の部分は区分所有分の損害を自己負担になります。
保険未加入の場合、すべて自己負担になります。
これが下記の表のとおりとなります。
※○・・・加入している保険会社から保険金が支払われます。
×・・・保険金の支払いはありません。損害費用を各個人が負担します。
【隣家B】
Bの人は、個人ですべて火災保険に入っている場合は、Aと同じです。
専有部分のみ加入している場合は、自分の損害は補償されるが、区分所有分は自己負担になります。
保険未加入の場合、火元でもないのに、自分の家の補償、共用部分の区分所有分が自己負担になります。
※○・・・加入している保険会社から保険金が支払われます。
×・・・保険金の支払いはありません。損害費用を各個人が負担します。
【同マンションの居住者C】
Cの人は、区分所有分のみ、自己負担です。
専有部分のみ加入している場合は、自宅は被害ないので補償なし、区分所有分は、自己負担になります。
保険未加入の場合は、自宅は被害ないので補償なし、区分所有分は、自己負担になります。
※○・・・加入している保険会社から保険金が支払われます。
×・・・保険金の支払いはありません。損害費用を各個人が負担します。
※上記は概要の説明です。詳細は弊社までご照会ください。